2012年の「ぼくとわたしの阪神電車」作品募集が始まる6月初旬。
阪神電気鉄道本社の会議室のテーブルの上には、色彩豊かな受賞作品が広げられていました。これらの力作は昨年2011年の受賞作品。いずれも「これが、小学生の作品?!」と思わず声が上がるほど、素晴らしいものばかり。石垣の石一つひとつまで色を変えてディティールにこだわった作品、印象派絵画のように淡く、表情豊かに描かれた作品、中には電車から無数の手が生えたり、昆虫が電車になったりと、こどもの豊かな想像力が十二分に表現されています。
こどもたちの絵を見ている中で気づかされたのは、絵の中に登場する人々がみんな笑顔であること。私たち大人は多くの場合、どこかへ移動するための交通手段として電車を見ていますが、こども達にとっては電車に乗ること自体が大きな「イベント」なんだな、と自分の幼いころを思い出しながら、懐かしく感じることができました。
「ぼくとわたしの阪神電車」は今年で8年目を迎え、第一回のコンクール時に、小学校6年生であったこども達は、今年で20歳。
「もしかしたら、数年後には応募者の中からアーティストが生まれたり、阪神電車の社員が生まれるかもしれませんね。もし彼らに“あの時のコンクールがきっかけで…”と話をされたら、私は嬉しくて倒れちゃうかもしれません」と話す平尾さん。
8年の歴史の中で、「ぼくとわたしの阪神電車」は、こども達の夢だけなく阪神電気鉄道の社員の方々の夢も紡ぎ出す、素敵なコンクールとなっているようです。 |